
[出演者] アナンダー・エバリンハム(Ananda Everingham/อนันดา เอเวอร์ริ่งแฮม)、カムリー・パンラウォン(Khamlek Pallawong/คำลี่ พันละวง)
[評価] ★★★★


タイとラオスの合作とのことでどちらがイニシアチブをとっているのかわからないのだが、とてもタイ映画とは思えないさわやかな作品となっている。ノイ役のカムリー・パンラウォンの純情さが、そのさわやかさを一層引き立てている。彼女はラオスの女優なのであろうか?それともデビュー作なのであろうか?資料が見つからないので経歴が分からない。そして、ソーン役のアナンダー・エバリンハムが、またいい味を出している。このひと、マスクがいいだけでなくかなり演技の幅が広い実力派だ。普段は脂ぎった役が多いと思うのだが、純朴なカメラマンを見事に演じている。こんなさわやかなアナンダーは初めて見た。日本でも「心霊写真(Shutter)」<2004>、「ミー・マイセルフ 私の彼の秘密(Me...Myself)」<2007>がDVD化されているので、彼を知っている人も多いであろう。ちなみに2011年現在、彼はタイで日本の三菱自動車のコマーシャルに起用されている。 そして、映像の美しさが見事だ。この作品を見て、ぜひラオスへ行ってみたいと思う人は多いはずだ。実際に行くと、現実とのギャップに戸惑うかもというくらい美しく描かれている。また、作品に笑いの要素が入っているものの、変なドタバタコメディーがないのも好感が持てる。双子の少年と小さな女の子が笑いの役を担っているのだが、これがまたおもしろい。ただ、双子の少年は本当に双子だったのであろうか?というのは、二人同時に出てくるシーンがないのである。もしかすると、一人しかいなかったのかもしれないと思うのだが。
ストーリーは自然豊かなラオスの背景をバックに淡々と進んでいくので最後はどうやってまとめるのかと思ったら、ちょっとまとめきれなかった感じがする。この作品、ラオス人としてのアイデンティティーの問題が根底に含まれているので、意外に奥が深い。奥が深すぎて最後は・・・。とはいえ、ラオスの風景も含め見どころの多い作品であることは間違いない。
作品のタイトルにはルアンプラバン(ラオスの北部の町で、ユネスコの世界遺産にも登録されている。タイ語では「ルアンプラバン」だが、ラオス語では「ルアンパバーン」)という地名が使われているが、舞台は南部の町パクセーから始まり首都のビエンチャン、ルアンプラバンへと移動する。メインはどちらかというと南部の町で、ルアンプラバンではない。ただ、ソーンの親の出がここなのでタイトルに使ったのか? ポスターのひとつにこんなキャッチ(言葉)が書かれている。「เธอทักว่า"สะบายดี"(สวัสดี) ผมตอบ"สบายดี"(สบายดี)」。これは「あなたは"サバイディー"(こんにちは)と挨拶をした。私は"サバイディー"(元気です)と答えた」という意味になる。この作品の内容をよくあらわしている言葉で、ラオ語(ラオス語)とタイ語の微妙な違いを表している。ラオ語で「サバイディー」とは「こんにちは」という意味で、タイ語で「サバイディー」とは「元気です」という意味になるのだ。ちなみに音は同じなのだが、文字の綴りは「สะบายดี」(ラオ語)と「สบายด」(タイ語)で違っている。
2010年にこの作品のパート2「フロム・パクセー・ウィズ・ラブ(From Pakse with Love)」が公開され、2011年にはパート3である「ラオ・ウェディング(Lao Wedding)」が公開された。主演男優は交代しているが、いずれも主演女優はカムリー・パンラウォンとなっている。
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